国内モノクロ版(ペーパーバック)
サイズ:A5版 B/W 288頁
定価:¥2,406.-(税・送料込)
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   書名:「ひかりの子供たち―ロラとサオリの物語」


著者:前野佳彦

 ロラは、宇宙から地球にふりそそぐひかりの子供たちの一人です。宇宙が誕生してすぐ生まれたひかりは、子供のひかりでした。母さんのひかりは、まだ物質以前のじゅんすいなエネルギーだったと言われています。母さんは、生まれたばかりの物質と、自分が生んだばかりのひかりの子供たちを祝福して、「この宇宙に生み続け、光り続け、充ち続けなさい」と言いました。もしあなたたちが星空を見上げて、そこに子供たちの好奇心に満ちた、純粋なまなざしを感じるなら、それはそこに「物質を照らす」ことを百三十八億年続けてきた、ひかりの子供たちがいて、じっとこのわたしたちの地球の「真実」を見守ってくれているからなのです。そうしたひかりの力、ありのままにものごとを見る力の尊さを知った、一人の子供がいました。サオリという小学生の女の子です。サオリはほんとうはロラでした。

 ロラはつまり、地球を照らすために来てまた去っていった、そういう「宇宙背景放射(うちゅうはいけいほうしゃ)」の一人だったのです。サオリは自分が孤児であるように、ロラも孤児だということを知りました。ロラはもう百三十八億年も、自分を産んでくれた「母なる光」を探して、宇宙を隅々まで旅しているのに、まだその母さんは見つかっていないからです。ロラは、自分の宇宙の旅をサオリに語りました。サオリはそれを日記帳に書いたのです。そして自分の親友の父さんにもその「実話」を話しました。この人はとても面白い作り話だと思ったようです。サオリの母さんはサオリのことを心配するあまり、その日記帳を病院の先生に見せました。サオリは想像と実在を混同している、だから危ない状態にある、とカルテに書かれてしまいました。誰一人、サオリはロラで、ロラはサオリであることを分かってくれません。どうしてこういう簡単な真理が分かってもらえないのか、そのことが二人にはまったく分からないのです。どうしてこの簡単な真理が大人たちには分からないのか、そのことをあなたにも考えてほしいと、サオリもロラも願っています。それはあなたも、ロラであり、サオリであったことがあるにちがいないから、と二人は言いました。それでわたしはこの物語を書いてみることにしたのです。想像と現実のあわいに生きたことのある、すべての童心に本書を捧げます。(筆者)





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