国内カラー版(ペーパーバック)
サイズ:170x210 mm 124頁
アマゾン定価:¥2,170.-(税抜き)
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国内B&W版(ペーパーバック)
サイズ:170x210 mm 124頁
アマゾン定価:¥1,470.-(税抜き)
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著者:ピーター・フランク・ズーリング(Peter Frank Zuuring)
挿絵:ヘールチェ・ファン・デル・ゼー(Geertje van der Zijpp)
訳者:前野佳彦(まえのよしひこ)・前野みち子(まえのみちこ)
昨年の暮れ、フェイスブックを通じて20年ぶりに昔の友人と再会しました。ピーター・フランク・ズーリング(Peter Frank Zuuring)というオランダ系カナダ人で、ビジネスの他に音楽や文学など極めて多才であった彼とは一時北米でコンピュータグラフィックス関連の仕事をしていました。ところが、ある時、突然、消息が途絶え、一旦はなんとウクライナのチェロノブイリ近くからメールを受け取ったのですが、それからまた音信が途絶えていたところ、昨年になって20年ぶりに今度は母国のオランダからメッセージ―が届いたのでした。カナダから消える前は、カナダAvro社開発によるカナダ初の純国産ジェット戦闘機Avro Canada CF-105 Arrowの復元を促進するAllow Allianceという協会を設立し、Avro Arrowに関連した本を数冊出版したという話は聞いたことがありました。Avro Arrowという戦闘機は1953年に開発が始まった当時としては最新鋭の三角翼ジェット戦闘機でしたが米国の介入によって開発は1959年で中止に追い込まれたということでした。当時から米国は、隣国の最友好国カナダでさえ自国を脅かしかねない兵器の開発は絶対に容認しなかったというわけです。そこでピーター・ズーリングは同志を募り、愛国心からかどうかはわかりませんが、とにかくAvroArrowを現代に復活させようと奔走したようです。しかし、そのArrow Allianceもいつしか活動中止に追い込まれ、そうこうしているうちに故国のオランダからメッセージが届いたというわけでした。そんなことから、今は何をしているのかと訊いたところ返ってきた返事が、これから紹介する"The Little Princess on the trail of the Little Prince(星の王女さま、あの星の王子様を追って"というサン=テグジュペリの"The Little Prince" にちなんだ絵本でした。
"The LittlePrince"では、星の王子様が不思議な形で姿を消した後、サン・テグジュペリは、もしも王子様が帰ってきたらそれを教えてくれるように読者に呼びかけています。ピーター・ズーリングの"The Little Princess”の中では、一人の女性が病院でガンと闘っており、そこで彼女の若い時の信じられないような冒険について書くことになるわけですが、その物語はサン=テグジュペリのその呼びかけに応えるためのものなのかも知れません。Avro Arrowの話とは180度異なるテーマで驚きましたが、眼を通した限り、ピーター・ズーリングらしい、感性に富んだ非常に素晴らしい絵本でしたので是非日本でも翻訳して出版しようということで、この春、『ひかりの子供たち』という子供むけの本を出された前野佳彦先生の奥様でいらっしゃる名古屋大学の前野みち子先生に相談しましたところ、大変興味をもっていただき、ご夫婦で翻訳の労をとっていただくことになりました。つい半月前に翻訳を終えた前野先生は、この『星の王女さま』についてこう述べていらっしゃいます。――『星の王女さま』はサン=テグジュペリの『星の王子さま』とゴッホをこころから愛する女主人公の物語である。それでは、星の王子さまとゴッホの共通点、あるいは接点は、どこにあるのだろうか。作者は冒頭に寄せたメッセージのなかで、読者からこんな質問が出るのを予期していくつか答えらしきものを並べているが、どれもはっきりとした答えではない。なぜなら、ほんとうの答えは、この物語を読み終えた読者自身が、それぞれに見つけ出すべきものだからである。とはいえ、ゴッホ、王子さま、この物語の王女さまは、星々に想いをはせ、想いを托している点で一致している。そして、人間はもうずっとずっと昔から、星々に想いをはせ、想いを托してきた。わたしたちは夢見る力をもっている。星々はそのようなわたしたちの夢見る力を刺激してやまない。日本の読者がこの物語を読んで、星々に想いをはせ、想いを托すきっかけとなるなら、訳者にとっても幸いである――。編者
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