3dglasses

クロマデプス3Dメガネを用いた Walk on Map

坪井塑太郎

官学連携による地域防災力の向上に資する地図・地域教材の作成と実践

問題所在と取組みの目的
Walk on Mapの制作現場(人と防災未来センター)
官(自治体)・学(学校)の連携による地域防災力向上のための取組みは,消火訓練,避難訓練,防災講話会,防災ワークショップ,まち歩き,危険場所マップづくりなどが挙げられ,これまでに多くの自治体での実践事例がある.わが国では,2005年に中央防災会議の中に「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する専門調査会」が設置されて以降,2010年に策定された「地域連携型防災活動育成促進モデル事業」において,「地域で一体的に取り組む防災活動」の推進が行われてきた.また,2011 年 3月11日の東日本大震災を受け,翌2012年には,災害対策基本法の一部改正が行われ,この中に「防災教育」実施の重要性 が明記されるなど,現在では,地域に属するひとりひとりの防災意識の向上を図り,地域内の連携を促進することにより,地域の防災力(災害を未然に防止し,災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ,災害の復旧を図る力)の強化を位置づけるなど,官・学を挙げた取組みの重要度がより一層増してきている.同法改正の中では,その理念として,地域の災害履歴や防災に関する「知識」,協力して災害に立ち向かう「態度」,安全な避難や的確な救急救命を実践できる「技能」を,平時から育成していくことの重要性が掲げられている.しかし,官・学双方にとって課題となっているのは,1)事業内容や素材の技術・コストの限界,2)参加者の常態化・年中行事化,3)投入コストや労力に見合った効果の見えにくさ等が挙げられている.特に,初等中等教育課程にある児童・生徒にとって,発災後に実際に行動に移すための「知識・技術・動機」を普及・啓発していくためには,従来の取組みに加え,簡便な操作・作業での導入が可能な「新たな技術」により,取組み事 例を蓄積していくことが重要であると考えられる.

そこで,本取組みでは,災害対応の前にまず,自身の地域を知ることを重視し,「地域の高低を体感する」ための地図作成を目的として,自治体(官)に対してはGISを用いた標高地形図の作成に資する技術支援を,児童・生徒を含む参加者(学)に対しては,3D立体メガネ(クロマディプス)を用いて地図の上を「歩き」,「見て」,地域を「考える」機会を 提示することを目的とする.

取組みの実践においては,「官」を通して「学」へ結び付けていくことを基本枠組みとす る.すなわち,第一段階では,自治体危機管理部局職員に対する GIS を用いた防災教育素材・地図の作成技法の研修・講習行うことにある.これをふまえ,第二段階では,生徒・児童をはじめ地域住民への防災に対する普及啓発を図っていくものとした.また,実践に当たって重視したのは,GISについては,導入コストの低減化や操作上の煩雑さをできるだけ省力化する点と,簡易に地域を簡便に「立体視」する体験を通して,地域の標高を考 えながら災害への備えを考え,話し合う機会を提供する点にある.

本取組みの主対象は「学」における初等中等課程の児童・生徒であるが,地図製作のための取組みや事前準備を「官」においても実施したのは,官学の連携強化と同時に,近年,市町村合併以降の面積拡大等により共通の地域理解が困難になっていることから,これに対する自治体職員自身の「気づき」を促す効果もそのねらいとしたことがその背景にある.


■ クロマデプス防災地図の作り方

■ Walk on Mapを用いた防災教育の取り組み
●クロマデプス防災地図を用いたWalk on Map防災教育活動
[1] 兵庫県南淡路市立沼島小学校・沼島中学校 『地図から考える沼島の地形と防災』
[2] 兵庫県南淡路市立石屋小学校 『3D特殊メガネで見る地域の形状』
[3] 中国四川省成都『災害リスク管理と防災教育実践フォーラム』
[4] 「ぼうさいこくたい2022」参加 『洪水災害,広域避難地図』


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